早川敏夫司法書士事務所

配偶者居住権とは?制度の概要と具体的な設定方法を解説

配偶者居住権とは?制度の概要と具体的な設定方法を解説

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配偶者居住権は、被相続人が亡くなった後、残された配偶者が住み慣れた自宅を追い出されることなく、安心して生活を継続できるようにするために創設されました。
今回は配偶者居住権について解説します。

配偶者居住権とは?

配偶者居住権とは、亡くなった方の配偶者が、被相続人の所有していた建物に亡くなった時点で居住していた場合に、終身または一定期間、その建物を無償で使用および収益することができる権利です。
この権利は、単なる居住の継続を認めるだけでなく、他人に貸し出して賃料を得ることも一定の条件下で認められる強力なものです。
もっとも重要性が高い目的は、高齢の配偶者が自宅を失う不安を解消することにあります。
たとえば、夫が亡くなり、遺産が自宅3000万円と預金3000万円で、相続人が妻と子1人の合計2人である場合を考えてみましょう。
法定相続分通りに分ける際、妻が自宅を単独で相続すると、預金はすべて子が相続することになり、妻の手元に現金が残りません。
しかし、配偶者居住権を利用すれば、妻は自宅に住む権利を確保しつつ、残りの1500万円分を預金で受け取ることが可能になります。

配偶者居住権を設定する方法

配偶者居住権は自動的に発生するものではなく、以下の方法で設定します。

遺言に残してもらう

もっとも確実な方法は、被相続人が生前に遺言書を作成し、配偶者居住権を特定の配偶者に遺贈する旨を記載しておくことです。
これを遺贈による設定と呼びます。
遺言があれば、相続開始と同時に配偶者は権利を取得するための法的な根拠を得ることができます。

遺産分割協議で取り決める

遺言がない場合には、相続人全員による遺産分割協議の場で設定を合意することになります。
話し合いの中で、配偶者の今後の生活設計を考慮し、配偶者居住権という選択肢を提案する段階が必要となります。
協議によって成立した合意は、遺産分割協議書に詳細な内容を記載し、相続人全員が署名し、実印を押印することで法的な効力を持ちます。
この際、期間を終身とするのか、あるいは10年といった一定期間とするのかを明確に定める必要があります。
また、固定資産税や修繕などの維持費を誰が負担するのかといった実務的な負担についても話し合うべきといえます。

まとめ

今回は、配偶者居住権の定義と、遺言や協議を通じた設定方法について解説しました。
この制度は、建物の価値を居住権と所有権に分けることで、不公平感を解消し、配偶者の生活を守るための画期的な仕組みです。
しかし、権利の評価額の算出や、法務局への登記申請といった手続きが必要です。
お困りの際は司法書士に相談することを検討してください。